上司の妻から不倫を疑われているのですが、まったくの勘違いです──。
弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられた。
相談者によると、上司から「妻への贈り物」について相談を受けたことをきっかけに、不倫を疑われるようになったという。
その後は、相談者が季節の挨拶状を上司に送るだけでも、妻から電話や呼び出しを受けるようになったそうだ。
いったんは「誤解」だったと謝罪されたものの、今度は上司が相談者を無視するようになったという。仕事仲間からは、上司の妻が弁護士を「雇うらしい」という話も漏れ伝わってくる。
同僚までトラブルに巻き込まれ、相談者はすでに「精神的にもきて」いる状態だ。妻から何らかの法的措置を受けてしまうのではないかと不安を抱いている。今井俊裕弁護士に対応を聞いた。
●慰謝料請求をしてくる可能性はある
──相談者の話では、濡れ衣のようですが、上司の妻はどのような法的措置を取ってくる可能性があるのでしょうか。
「夫と相談者が不倫している」と妻が本気で疑っていることを前提にすれば、相談者に対して慰謝料の支払いを請求してくる可能性はあります。
内容証明郵便が届き、その後の交渉の展開次第では、民事訴訟を提起されるリスクも否定できません。
ただし、妻側の弁護士であれば通常、こうしたアクションを起こす前に、不倫の証拠がそろっているのか、依頼者(妻)に確認するはずです。
正直なところ、今回の相談内容だけでは、不倫の事実を裏付ける証拠としては、心許ないと言わざるを得ません。仮に訴訟になったとしても、裁判で請求が認められる可能性は低いと思います。
●名誉毀損を理由に「逆」に慰謝料請求できることも
──いわれのない不倫の疑いをかけられている相談者の立場から、どんな対抗措置が考えられますか。
妻は、相談者だけでなく、夫の勤務先の関係者にも、不倫関係にあることを吹聴するかのような行動をとっているようです。
これも程度問題ではありますが、こうした行為は、相談者の名誉を傷つけるものと評価される可能性があります。
名誉毀損にあたると判断されれば、逆に妻に対して慰謝料を請求できる可能性もあります。
●裁判所に「妻の行動停止」を求める仮処分も
──さらに妻の行動がエスカレートしたら、相談者はどうしたらいいのでしょうか。
さらに妻の言動がエスカレートし、執拗な吹聴や嫌がらせにまで発展するリスクも考えられます。
その場合、名誉毀損など人格権侵害の停止を求めて、裁判所に仮処分を申し立てることも手段の一つとなります。
●会社には対応義務はあるのか
──会社には、相談者が置かれた状況を解決する義務があるでしょうか。
相談者は上司から無視され、仕事に支障が出ていると考えられそうです。就労環境に悪影響が及んでいるのであれば、職場管理の問題として、会社は無関係ではいられないでしょう。
従業員間の不倫問題を是正する法的義務があるかどうか以前に、放置すれば、社内の人間関係がぎくしゃくして、適正な労働環境に問題が生じます。
●上司の「無視」がパワハラにあたる可能性も
──上司の無視が問題になりそうです。
上司から職場で無視され続けて、相談者の就労環境が悪化しているのであれば、パワハラに該当する可能性も出てきます。
その場合は、社内のパワハラ担当窓口や人事部など、指定されている部署に相談し、会社としての改善を求めることが重要です。