夫婦喧嘩の腹いせのつもりだったのか。極端に辛い料理を食べさせられ、下痢が止まらなくなった——。
弁護士ドットコムにこんな相談が寄せられている。
相談者の男性によると、妻と喧嘩をした後に出された料理がとにかく辛く、鼻炎で味をあまり感じなかったこともあり、そのまま食べ進めてしまったそうだ。のちに激しい下痢に見舞われ、後日、妻からは「下痢の原因となるものを食事に混ぜた」と打ち明けられたという。
夫婦間であっても、相手に体調不良を引き起こす料理を意図的に食べさせる行為は、法的にどのような問題が生じるのだろうか。夫婦問題にくわしい原口未緒弁護士のもと、解説する。
●激辛料理は「身体的DV」にあたるか
──夫婦喧嘩の末に、極端に辛い料理を食べさせて体調を崩させる行為は、法的にどう評価されますか。
つらい思いをされたとのこと、お察しいたします。
故意に激辛な料理を食べさせ、下痢や腹痛といった身体的な不調を引き起こす行為は、殴る・蹴るなどの暴行がなくても「身体的DV」と評価される可能性があります。相手の身体の安全や健康を害する行為として、民法上の不法行為にあたり得ます。
ただし、DVやモラハラと認められるには、単発の出来事ではなく、支配的・継続的な言動の一部と評価できることが重要です。一度限りの行為であれば、法的責任の追及は難しい場合もあります。
離婚の際に有利な事情として主張したいのであれば、体調不良の程度を示す診断書や、妻の発言を記録した音声・メッセージなど、客観的な証拠を残しておくことが有効です。
また、被害が深刻で、妻の発言が事実であれば、傷害罪(刑法204条)に問われる余地もあります。
ちょっとした「腹いせ」だったとしても、思わぬ被害が生じることがありますので、絶対にやめましょう。
●今後の寄り添い方「言葉で表現して」
ただ、夫婦喧嘩の末、とのことですし、奥様も辛いものを食べさせるというくらいの腹いせ行為ですので、離婚までは考えていらっしゃらないのでしょう。
奥様だけを悪者にするのも、夫婦関係をこじらせる原因にもなります。
奥様も、このような行為で表現するのではなく、お互い、きちんと言葉で表現するように今後工夫をしていきましょう。
その際に重要なのが、自分を主語にして話すという「アイメッセージ」の手法です。相手を主語にして話すと、どうしても、喧嘩になりがちです。
自分はどう感じたか、どう考えたか、今後、どうしていきたいか、どう改善していきたいか、そういったことを、自分を主語にした自分の言葉で伝えていくのが、夫婦喧嘩を防ぐコツですよ。