長年続いた不倫関係。その相手が、ある日突然亡くなった――。
死亡した相手に配偶者がいれば、法的トラブルが生じることもあります。特に、相手や自分が高齢であれば、こうしたトラブルに巻き込まれることもありえる話でしょう。
不倫中に当事者が死亡すると、遺された当事者にどのような紛争が起こり、どのような結果をもたらすのでしょうか。実際に担当した経験のある弁護士に、死してなお続く不倫現場の実情を聞きました。
高齢者の不倫が発覚した場合、「あえて離婚を選ばない道もある」と指摘します。
●LINEのやりとりで発覚、妻から「法的手続き」の連絡
弁護士ドットコムには、次のような相談が寄せられています。
相談者の女性は長年にわたり、既婚者の男性と交際していました。
ところが、男性が急死。スマートフォンに残っていたLINEのやりとりを男性の妻が見たことで、関係が発覚しました。妻からは「法的手続きをとる」と連絡を受けたそうです。
長期間の不倫関係では、当事者が高齢になっていることも少なくありません。相手が急に亡くなり、突然のことに驚くこともあるでしょう。そして、死をきっかけに関係が明るみに出ることもあります。
相手が亡くなったあとでも、不倫の責任は問われるのでしょうか。こうしたケースを扱ったことがあり、家族の法律問題にくわしい玉真聡志弁護士に聞きました。
●相手が亡くなったあとでも、妻は慰謝料を請求できる
━━不倫していた夫(配偶者)が亡くなったあとでも、その妻(もう一方の配偶者)は、女性(不倫相手)に慰謝料を請求できるのでしょうか。
夫が亡くなったあとでも、その妻は女性に対し、不貞行為を理由として慰謝料を請求できます。
妻にしてみれば、夫と女性の不貞行為によって、夫に対する信頼が破壊された事実は変わらないためです。
●慰謝料の額は「離婚しない場合」と同程度になったことも
ただし、夫が亡くなった場合の不貞慰謝料の額面は、不貞行為で離婚する場合の慰謝料と比べると低額になる傾向にあると思われます。離婚しない場合の不貞慰謝料と同程度になることが見込まれます。
夫が亡くなったことで妻は離婚できなくなります。そのため、不貞行為の発覚後でも、妻に関する法律上の地位は変わらないことがその理由です。
私は、妻側の代理人として、不貞行為中に夫が亡くなった慰謝料請求事件を担当したことがあります。そのケースは和解で解決できましたが、裁判官が示した和解金は、離婚しない場合の不貞慰謝料をベースにした金額だったと記憶しています。
●高齢者の不倫トラブル、「離婚せず慰謝料のみ請求」という選択も
━━高齢者の不倫をめぐるトラブルで気をつけるべきことはありますか。
高齢者の不倫に関するご相談では、配偶者との離婚を考える人もいます。
ただ、長年連れ添った配偶者と離婚する場合、その配偶者への財産分与金がかなり高額となり、離婚による金銭面の負担が重くなることがあります。
また、高齢者のなかには、すでに仕事を引退している人が多く、離婚した後の生活費をどのように工面するのか、という問題も起こり得ます。
ですので、高齢者の不倫トラブルでは、仮に離婚の希望があっても、離婚後の生活をイメージしていただくと、離婚せず不貞慰謝料のみ請求する、という方法を選ぶ場合も少なくないと思います。