妻の不倫相手が、5人以上いた──。
愛する妻が裏切りに走っていたことを知り、苦悩する夫からの相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
夫が妻を問い詰めたところ、妻は複数の男性と肉体関係を持っていたことを認め、人数分だけ反省文も書いたそうです。
妻が白状した内容によれば、肉体関係が1〜2回にとどまる相手もいれば、多数回にわたって関係を重ね、夫婦が別居したあとは妻と一緒に暮らしている相手もいることがわかったといいます。
しかし、不倫相手の男性たちの多くは関係そのものを否定しているそうです。
相談者は、これから男性全員に慰謝料を請求できるのかと悩んでいます。
相手が5人いれば、慰謝料も5人分もらえるのでしょうか。離婚・男女問題にくわしい林本悠希弁護士の監修で解説します。
●「慰謝料相場」×「人数分」にはならない
──配偶者の不倫相手が複数いる場合、慰謝料はその人数分を請求できるのでしょうか。
全員に請求することは可能ですが、単純な掛け算にはなりません。
前提として、妻と男性たちの不貞行為は、それぞれ別個に不法行為を構成します(民法709条)。
相手が5人いれば請求権も5つ立つので、「一人ずつ請求していく」という発想自体は間違っていません。
ただし、慰謝料は不倫相手の人数だけで決まるものではありません。
それぞれの不貞の期間や回数、婚姻関係への影響などに応じて判断されるため、「一人につき一律●万円」と機械的に計算することはできないのです。
妻とそれぞれの男性は、その二人の不貞行為によって生じた損害について、共同で賠償責任を負います。同じ損害について妻と男性の双方から二重に賠償を受けることは基本的にはできません。
一方、複数の男性が同じ妻と不貞関係を持ったというだけで、男性同士が当然に共同不法行為者になるわけではありません。
男性Aから慰謝料を受け取ったからといって、男性Bへの請求が当然になくなるわけでもないのです。
ほかの相手から受け取った慰謝料がどのように影響するかは、それぞれの不貞による損害が重なっているか、受け取ったお金がどの損害を賠償するものか、といった事情によります。
したがって、「相場額×人数」がそのまま認められるわけではありませんが、反対に、全員から受け取れる合計額が一人の場合と同じ金額(相場)に収まると決まっているわけでもありません。
この辺りは、判断もケースバイケースでかなり分かれるものと思われます。
●相手ごとに金額の差はつく
そのうえで、相手ごとの金額には差がつくと思われます。
不貞の回数、期間、同居の有無、婚姻関係にどれだけ影響を与えたかといった事情が加味され、関与が重い相手ほど、高い金額が認められる傾向にあります。