秋祭りのシーズンだ。子どもからお年寄りまで地域の人たちが盛り上がる一方、祭りの参加費や寄付金をめぐるトラブルも起きている。
弁護士ドットコムには、祭りの費用をめぐって「街にいられなくするぞ」などと脅され、お金を請求されたという相談が寄せられている。
近所付き合いが悪くなることをおそれ、納得できないまま支払ってしまう人もいるようだ。
Xでも、似たような体験談が話題になっている。
かつて飲食店で働いていたという投稿者によると、店に祭りの関係者が訪れ、「寄付を集めている」「この辺りの店は全部出している」と金銭を要求されたという。
店の本部に確認したところ、支払う必要はないとの回答だったため、その旨を伝えた。すると、相手から「非協力店として名簿に残す。覚悟しておけ」と告げられたという。
結局、店側はお金を支払うことになったそうだ。祭りの寄付金に支払い義務はあるのだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。
●祭りの寄付金、断ったら「恐喝罪」になる?
──そもそも、祭りの寄付金に法的な支払い義務はあるのでしょうか。
寄付は原則として任意でしょう。「ほかの店も払っている」「昔からの決まりだ」という理由だけで、支払い義務が生じるわけではありません。
ただし、町内会費などに祭りの費用が含まれている場合や、参加にあたって費用負担の合意がある場合は、別途検討が必要です。
──では、支払いを断った相手に「街にいられなくするぞ」「覚悟しておけ」などと告げた場合はどうなるのでしょうか。
相手の生命や身体、自由、名誉、財産などに害を加えると告げた場合、脅迫罪(刑法222条)が成立する可能性があります。
さらに、脅して金銭を支払わせた場合には恐喝罪(同249条)が成立する可能性があります。支払いに至らなくても恐喝未遂罪が問題となり得るでしょう。
過去には、地域住民が特定の人との付き合いを絶つ、いわゆる「村八分」の通告について、脅迫罪の成立を認めた裁判例もあります。
ただし「非協力店として名簿に残す」といった発言が、直ちに犯罪になるとはいえません。発言の内容や前後の状況、金銭を支払うに至った経緯などによって判断されます。
●正当な支払い義務があっても…
──そのほか注意すべき点などありますか。
仮に正当な支払い義務があったとしても、脅して取り立てれば恐喝罪が成立する可能性があります。
もちろん、地域の伝統行事を支えるための協力は大切でしょう。しかし、だからといって、寄付を断った人に圧力をかけることまで許されるわけではありません。
脅迫的な要求を受けた場合は、発言内容や日時、相手の名前などを記録し、警察などに相談することも考えられます。