臨月で夫の不倫が発覚した——。妊娠中の女性からの相談が弁護士ドットコムに寄せられている。
相談によれば、女性は、夫と不倫相手の女性がしばらく前から関係を持っていたことを知ったという。
しかも、もうすぐ赤ちゃんが生まれるというタイミングになってなお「夫の裏切り」があったことまで明らかになり、女性は大きなショックを受けている。
女性によると、相手のSNSを通じて、「(妻の)妊娠を知りながら関係を続けていた」という証言も得られており、勤務先などの素性も判明しているという。
女性は夫とは離婚しない方針だが、不倫相手の女性には慰謝料を請求したいと考えている。不倫相手の女性が妊娠を知りながら関係を続けていたことや、臨月のタイミングでの不倫は、慰謝料の増額につながるのだろうか。離婚や男女問題にくわしい宮地紘子弁護士に聞いた。
●離婚しなくても、不倫相手に慰謝料を請求できる
──相談者は離婚しない方針ですが、不倫相手に慰謝料請求は可能でしょうか。
不貞行為は、夫婦の平穏な婚姻共同生活を破壊する行為として、民事上の不法行為となり、慰謝料請求が認められます。
そのため、離婚しなくても、不倫相手の女性に対して慰謝料を請求することはできます。
ただし、不貞行為があった時点ですでに婚姻関係が破綻している場合や、事実上の離婚状態にある場合は除きます。
●「妊娠を知りながら」「臨月でも継続」は増額方向に働く
──不倫相手の女性は、妻の妊娠を知りながら関係を続け、臨月の時期にも不貞行為があったとされています。裁判になった場合、こうした事情は慰謝料の増額方向で評価されるのでしょうか。
慰謝料の金額は、不貞行為の態様(不貞期間、頻度、不貞相手の意図)、婚姻関係への影響の有無や程度、妻の精神的被害の程度、その他の事情(夫婦間の子の有無や年齢、婚姻期間や婚姻生活の状況、不貞相手の反省の態度)などの要素を総合的に考慮して算定されます。
これらの要素の中で、婚姻関係への影響は特に重要視されますので、離婚する場合と比較して、離婚しない場合の慰謝料は低額になります。
ただ、今回のケースでは、不倫相手の女性は、妻の妊娠を知りながら関係を続け、臨月のタイミングでも不倫を継続していたことは、不貞行為の態様としては悪質と考えられ、妻の精神的被害も大きいといえるでしょう。
その他の事情が分からないため具体的な慰謝料額の相場までは判断できないですが、今回のケースでは、離婚をせずに不倫相手の女性に対して慰謝料請求をした場合の一般的な相場よりは慰謝料が増額される方向で評価される可能性は高いと思います。