妻の不倫相手は、勤務先の学校の元教え子だった——。妻の不貞行為をきっかけに離婚協議を進めている男性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられた。
男性によると、妻の不倫相手は元教え子で、ラブホテルに行っていたという。
男性は探偵の調査を通じて、ラブホテルなどに出入りする証拠を入手しており、さらに妻には不倫相手がもう1人いることもわかったそうだ。
男性は、妻と相手2人に慰謝料を請求したいと考えている。請求は認められるのか。そして金額はどの程度になるのか。濵門俊也弁護士の監修のもと、解説する。
●「妻が既婚者と知っていたか」がポイント
不貞行為は、配偶者の「平穏な婚姻生活を送る利益」を侵害する不法行為にあたります(民法709条、710条)。
不貞行為は配偶者と相手の2人でおこなうものですから、両者は共同不法行為者(民法719条)として連帯して賠償責任を負います。
つまり、妻だけでなく、不倫相手にも慰謝料を請求できます。
ただし、不倫相手に請求するには、相手に故意または過失があること──。要するに「既婚者だと知っていた」か「注意すれば知ることができた」ことが必要です。
●2人それぞれに請求できるが、単純に「2倍」にはならない
不倫相手が2人いる場合、それぞれに慰謝料を全額請求すること自体は可能です。
もっとも、慰謝料はあくまで相談者が受けた精神的苦痛に対する賠償として全体的に評価されます。
相手が複数いることは苦痛を大きくする事情として増額要素にはなりますが、「相手が2人だから相場の2倍」という単純な足し算にはなりません。
また、同じ損害について妻と相手の双方から重ねて満額を受け取る「二重取り」もできません。
●離婚に至る場合の相場は100万〜300万円程度
不倫が原因で離婚に至る場合、慰謝料はおおむね100万〜300万円程度が実務上の目安とされます。
婚姻期間の長さ、不貞行為の期間や回数、子どもの有無などの事情で増減し、不倫相手が複数いることは増額方向に考慮されます。
なお、不倫相手に請求できるのは原則として「不貞行為そのものによる慰謝料」であり、「離婚することになったこと自体の慰謝料」までは請求できません(最高裁平成31年2月19日判決)。ただし、夫婦を離婚させる目的で不当に干渉したなどの特段の事情がある場合に限り、例外が認められます。