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「元妻が娯楽に使っているのでは」 養育費の使い道に疑念、元夫は「領収書を出して」と言えるか?
写真はイメージです(Luce / PIXTA)

「元妻が娯楽に使っているのでは」 養育費の使い道に疑念、元夫は「領収書を出して」と言えるか?

養育費は本来、子どものために使うものです。しかし、「元妻の娯楽費用に使われているのでは」と不満を抱く元夫も少なくありません。

弁護士ドットコムには「元妻が養育費をどのように使っているか知りたい」という相談が寄せられています。

ある男性は「領収書」を出してもらい、養育費をどのように使っているのか確認したいとうったえています。

また、別の相談では、「保育園代や習い事」以外に使っていないか心配という声もありました。相談者は「子ども名義の通帳を作り、元夫しかおろせないようにする」ことで、実際に使った金額を把握する方法を検討しているそうです。

はたして、養育費を支払う側は、受け取る側に対して、使途の証明を求めることができるのでしょうか。また、子どもの利益を守るための管理方法には、どのような法的限界があるのでしょうか。鈴木菜々子弁護士に聞きました。

●「領収書の提出」を強制することはできない

──養育費を支払う側は、受け取る側に「領収書の提出」や「使途の明細」を求めることができるのでしょうか。

原則として、受け取る側(監護親)の同意がない限り、養育費の使途を報告させることはできません。

養育費は「子の健全な育成」に使うことを前提とした金銭であり、監護親がその裁量で管理・使用する権限を持っています。

その使い道を逐一チェックする行為は、親権や監護権の行使に対する過度の干渉となるおそれがあります。

ただし、法的に強制はできませんが、双方の合意があれば、離婚協議書などに「使途報告」を盛り込むことも可能です。

この場合も「年に一度、概要を報告すること」「教育費・医療費など特別な支出については、領収書を共有する」といった限定的な内容にとどめておくべきといえます。

●子名義の口座を支払う側が「管理」するのはNG

──子ども名義の通帳を作り、支払う側が管理するという方法は可能でしょうか。

原則として、子名義の口座を非監護親が管理することは、養育費の性質に反するものであり、認められません。

養育費は日常生活の費用として支払われるものであり、すぐに使える状態でなければ、子の生活に支障が出るおそれがあります。

また、本来、養育費は監護親に支払われるべきものです。支払う側が、自分の管理下にある口座に入金しても「実際に養育費を支払っていない」とみなされるリスクがあります。

●「元妻が娯楽に使ったか」は判断困難

──養育費の一部が元妻自身の娯楽や交際費に使われていた場合、返還を求めることはできますか。

法的には、養育費の一部が元妻自身の娯楽に使われたとしても、それだけで不当とはいえません。返還請求も原則として認められません。

養育費は、監護親の裁量のもとで「子の生活全体」に充てることを前提としています。実際には、子と共に生活する親の生活費と子の生活費は重なり合う部分が多く、支出の線引きは容易ではありません。

そのため、「娯楽費に流用された」と明確に断定できるケースは、ほとんど想定しにくいということになります。

●過度な使途追及は「子どもに悪影響」の可能性も

──養育費が本来の目的に使われるようにするには、どのような工夫が必要でしょうか。

まず、支払う側・受け取る側ともに、養育費が「子どもの権利」に基づくお金であることを理解することが大切です。

離婚後であっても、最低限の信頼関係を保ちつつ、養育費の支払いや面会交流を続けていくことが望まれます。

監護親が養育費を受け取りながら、子をネグレクトしているなど、よほどの事情がない限り、使途を細かく追及することは避けるべきです。過度の干渉は、元配偶者の生活を抑圧し、かえって子どもの健全な育成を損なうおそれがあります。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事は「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談をもとに、新たに弁護士の解説を追加して作成しています。

プロフィール

鈴木 菜々子
鈴木 菜々子(すずき ななこ)弁護士 弁護士法人とびら法律事務所
弁護士登録以降、離婚・相続を主とした家事事件に注力。千葉市の弁護士法人とびら法律事務所は、累計7000件以上の相談実績を誇る。特に離婚事件については、法的知識だけではないノウハウの蓄積に基づき幅広い案件に対応している。迅速な案件解決に力を入れている。

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