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「結婚後もバレないよう浮気をしたい」と迫ってくる元カレ…婚約者にバラしてもいいですか?
写真はイメージです(buritora / PIXTA)

「結婚後もバレないよう浮気をしたい」と迫ってくる元カレ…婚約者にバラしてもいいですか?

元カレが、「結婚後もバレずに浮気をしたい」と言ってきます。元カレの婚約者にこのことをバラしても良いでしょうかーー。

このような相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者によると、元彼は数年付き合って別れましたが、破局後はあくまで友人として、たまに遊んでいたといたといいます。

しかし、元カレと旅行に行った際に男女関係を迫られたので拒否したところ、話の流れで元カレには長年付き合っていた彼女がいて、すでに婚約していることが発覚しました。

元カレは、「相談者のことも、婚約者のことも好き」「婚約者は結婚するのにちょうどいい相手。相談者とは一緒にいて楽しいから今後も会って欲しい」と言ってきたそうです。

元カレはさらに、婚約者との結婚後も「バレないように相談者と浮気をしたい」「できれば他の女性たちとも遊びたい」などと言い出したそうです。相談者は元カレと別れてから男女関係はなく、キスはしたことがあるそうですが、婚約者がいることを知ってからは会っていないといいます。

元カレの身勝手な言い分に呆れた相談者は、婚約者にこうした「浮気」の事実を教えてあげたいと思っているとのことです。

一方で、「婚約者に伝えることに法的な問題ありませんか?」と疑問を持っているようです。相談者はどう対応すればよいのでしょうか。

光安理絵弁護士に聞きました。

●婚約者の連絡先を調べても大丈夫?

——相談者は元カレの連絡先は知っていますが、婚約者の情報は持っていないとのことです。相談者が興信所を使って婚約者の名前や住所、連絡先を調べることに法的な問題はないのでしょうか。

ご相談者のお気持ちはわかります。

しかし、ご相談者の方は、元カレの婚約者に対し、法的に請求権を有しておらず、訴訟などの法的手続きを起こす必要がありません。つまり、婚約者の住所や連絡先を調べる必要性がないのです。

にもかかわらず、興信所を使って調査した場合、婚約者から、第三者が自分の個人情報を積極的に取得したことに対して、精神的苦痛や恐怖感、不安感を覚えたとの理由で慰謝料を請求される可能性があります。

●「浮気」を勝手にバラしたらさらに問題

——もしも、婚約者の連絡先がわかった場合、相談者は元カレの言動を、相談者と元カレが一緒に旅行していた時の写真などとともにバラしたいと考えているようですが、法的な問題はありますか。

住所などを調べること以上に問題があると考えられます。

相談者の方は、元カレの婚約者に良かれと思ってやっておられるかもしれません。しかし、婚約者は、相手男性(相談者の元カレ)が過去に誰と交際していたのか、自分と一緒にいないときに何をしているかについて、どんなことでも知りたいと思っているとは限りません。

むしろ、「知りたくなかった」「知ってしまうとしても、当の本人(元彼女)から知らされるなんて辛すぎる」と考えるかもしれません。その場合、婚約者から相談者の方について慰謝料請求がなされるリスクがありますし、法的な請求までいかずとも、トラブルになる可能性は十分あります。

●逆に元カレの婚約者から慰謝料請求される?

——相談者が元カレに婚約者がいるとは知らずに旅行に行ったことは、不貞行為にあたりますか。また、相談者が婚約者から慰謝料を請求される可能性はありますか。

相談者の方が、元カレに婚約者がいることを本当に知らなかったのであれば不貞行為にはあたりません。婚約者から慰謝料を請求されても支払う必要はありません。

もっとも、婚約者から慰謝料を絶対に請求されないか、ということとはまた別の話です。もし、相談者の方が、自分から元カレの言動を婚約者に「バラし」、そのせいで、逆に、相談者の方が元カレと旅行に行ったことやキスしたことまで発覚した場合、トラブルになるのは目に見えています。婚約者がいると知らなかったことを証明するのも難しいです(「ない」ことの証明が一番困難です)。

婚約者は、旅行もキスも許せなくて、不貞行為に当たらないとしても、慰謝料の支払いを求めてくるかもしれません。

——相談者はどうするのがベストでしょうか。

これまで述べた通り、相談者の方が、婚約者と連絡を取るのは、元カレと婚約者とで解決すべき問題にわざわざ首を突っ込むようなものです。

相談者の方にとって利するところはほぼありません。元カレの態度に腹は立つと思いますが、もうかかわらないようにするのが良いでしょう。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事は「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談をもとに、新たに弁護士の解説を追加して作成しています。

プロフィール

光安 理絵
光安 理絵(みつやす りえ)弁護士 ソレイユ総合法律事務所
大阪大学法学部、同大学院法学研究科修了後、パナソニック株式会社(旧松下電器産業株式会社)入社、本社法務本部配属。2003年司法試験合格、東京地方検察庁、横浜地方検察庁を経て仙台弁護士会に弁護士登録。2021年度仙台弁護士会副会長。現在、ソレイユ総合法律事務所代表弁護士を務め、離婚事件、交通事故事件、刑事事件等を多数扱っている。

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