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美容整形に「失敗された」SNS投稿は名誉毀損? クリニックに訴えられる“境界線”…体験談でもアウト?
写真はイメージ(buritora / PIXTA)

美容整形に「失敗された」SNS投稿は名誉毀損? クリニックに訴えられる“境界線”…体験談でもアウト?

美容整形の手術後、腫れや内出血が引くまでの回復期間を「ダウンタイム」と呼ぶ。その言葉をタイトルに掲げたNetflixのドラマ「ダウンタイム」が、9月17日の配信開始から1週間で国内ランキング1位となり、話題を呼んでいる。

作品では、美容整形業界の内幕とともに、安達祐実さんが演じる、整形を繰り返しながらネット掲示板でレスバトルに及ぶクレーマー女性の姿も描かれる。また、評判が売り上げに直結する世界だけに、クリニックの“ネット部隊”も暗躍する。美容整形とネットやSNSは、切っても切れない関係にあるようだ。

現実でもトラブルは起きている。

弁護士ドットコムには、施術の結果に納得できず、SNSに不満や体験談を投稿したところ、クリニック側から「名誉毀損だ」として投稿やアカウントの削除、賠償を求められたという相談が複数寄せられている。

クリニック名を伏せて投稿していたにもかかわらず、掲載した写真から本人が特定され、トラブルになったケースもある。

自分が実際に受けた施術への不満や「失敗した」という体験を発信することは、どこから法的な問題になるのか。クリニック側からの相談も受け、ネット上の権利侵害にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。

●「整形に失敗された」は名誉毀損になる?

──美容整形の結果に不満を持った人が、SNSや掲示板、口コミサイトに体験談を投稿し、クリニック側から名誉毀損などを主張されるケースがあります。

典型的なパターンとしては、美容整形を受けたものの、思ったとおりの結果にならなかったことを発端として、気に入らなかった点などについて投稿を繰り返すケースがあります。

──たとえば「整形に失敗された」「診察もしてくれなかった」といった投稿は、名誉毀損や業務妨害などにあたる可能性があるのでしょうか。「個人の感想」と「事実の指摘」では、法的な扱いに違いがありますか。

名誉毀損には「事実摘示型」と「意見論評型」があります。両者の違いは、違法性阻却事由の要件として現れてきますが、「意見論評型」、つまり感想を述べるようなものについては、一般論としては名誉毀損になりにくいといえます。

しかし、感想であっても、その前提となる事実が間違っていれば、名誉毀損を構成しやすくなります。

「整形に失敗された」は意見論評型に近いといえ、これだけで最終的に名誉毀損が成立するのは、やや難しいといえます。

一方、「診察もしてくれなかった」は事実摘示型といえ、最終的に名誉毀損が成立する余地があります。

●「自分が体験したこと」でも安心できない

──実際に自分が体験したことであれば、どこまで書いても問題ないのでしょうか。たとえば、施術前後の写真や医師とのやりとり、料金、クリニックの実名などを公開する場合、注意すべき点はありますか。

実際に体験したことであれば、基本的には真実性があるとして、違法性がないとされる可能性が高まります。

ただし、客観的な経緯とは異なる状況を、一方的に真実だと思い込んでいるケースは比較的よく目にします。

また、医学的には何ら問題がないことを「問題だ」と言っていたり、術後に患者本人がしなければならないケアを怠った結果として問題が生じているのに「クリニック側に問題がある」と発信している例もしばしば目にします。

このようなケースでは、クリニック側からの責任追及が認められる例も多いため、注意が必要だと思います。

●投稿前に「客観的な証拠で反論できるか」を考える

──美容整形に納得できず、自分の体験を伝えたい場合、法的なトラブルを避けながら投稿するには、どのような点に注意すればよいでしょうか。

クリニックからひどい対応を受けたというケースも、もちろんあり得ると思います。そのような場合でも、仮に訴えられたとしても、すべて客観的な証拠に基づいて反論できる、という程度の準備をしてから発信すべきだといえます。

納得できないという気持ちは理解もできます。しかし、この種の相談をクリニック側から多数受ける中で感じることもあります。

医学的には相応の理由があるケースが多く、事前に一定の説明がされていることも少なくありません。一方で、SNSなどの発信には、患者側にとって都合の良いことしか書かれていないケースもあります。

そのため、まずは自分のケースがどちらに当たるのか、客観的に考えてみることも必要ではないかと思います。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事は「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談をもとに、新たに弁護士の解説を追加して作成しています。

プロフィール

清水 陽平
清水 陽平(しみず ようへい)弁護士 法律事務所アルシエン
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022~2023年) 、「発信者情報開示ワーキンググループ」(2026年~)の構成員となっている。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第5版(弘文堂)」などがあり、マンガ・ドラマ「しょせん他人事ですから~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を行っている。

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