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「人身事故にすると加害者が処罰される」警察官に言われ「物損」に… 怪我したのに泣き寝入り? 被害者の後悔
画像はイメージです(yamasan / PIXTA)

「人身事故にすると加害者が処罰される」警察官に言われ「物損」に… 怪我したのに泣き寝入り? 被害者の後悔

事故で怪我をしましたが、物損事故として届けても良いのでしょうか——。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は、自転車で直進走行中に、駐車場から突然出てきた車に衝突し転倒してしまい右足首、腰、首を痛めてしまいました。

その後、警察が現場検証にきましたが、警察から「人身事故にすると、刑事事件として加害者が処罰される」など、相談者にとってはプレッシャーに感じる事を言われ、物損事故として処理される事になりました。

相談者は、怪我をしていたので、加害者に「病院に行っていいか」と尋ねました。相手から「それは平気です」と言われたため、整形外科にて治療をしてもらい、診断書を書いてもらう予定でいます。

相談者としては、物損事故のまま話を進めてしまうと、痛みが今後も続き診断書を書いてもらっても、慰謝料などの請求はできないのではないかと不安に感じています。竹内省吾弁護士に聞きました。

●物損事故として処理をすることにはリスクがある

——交通事故で怪我をしたのに、物損事故として処理すると、その後相手方に怪我や慰謝料を請求することはできないのでしょうか。

物損事故で処理されたとしても、治療費や慰謝料など人身損害の賠償請求をすることは可能です。

——怪我をしたのに、物損事故として処理した場合、他にどのような不利益が考えられますか。

怪我などの症状と事故との因果関係に疑義が生じ、交渉のハードルが上がってしまうこと、症状が長く残ってしまった場合でも、後遺障害認定がされにくくなってしまう可能性があることが考えられます。

また、物損事故の場合には、実況見分が行われないため、事故の詳細についての公式な記録(証拠)がなく、事故態様に争いがある場合、多くは過失割合の問題ですが、その交渉が難航してしまうことがデメリットとして挙げられます。

ドライブレコーダーがあればまだ良いですが、双方にレコーダーがついていない場合には、事故態様の特定は訴訟でも容易ではありません。

●人身事故として処理した場合、加害者側の刑事罰や行政処分のリスクは上がる

——警察がいうように、人身事故として処理した場合、刑事事件として加害者が処罰されるのでしょうか。

物損事故の場合、違反行為がなければ罰金も行政処分もありませんが、交通違反を伴う場合、その態様(例えば信号無視や酒気帯び)によっては、罰金や行政処分(点数加点)の可能性はあります。

人身事故の取り扱いになると、これに加え、過失運転致傷罪の適用により罰金などの処罰(刑事罰)が重くなる可能性があります。

ただし、人身事故であっても、軽微な違反で怪我も軽微な場合には、刑事罰が科されないこともあります。

一方で、行政処分に関しては、物損事故とは異なり、人身事故の場合には軽微であっても原則として点数加点がなされます。

●被害者が後から人身事故に切り替えることは可能

——相談者が、後から「やはり人身事故だ」と主張した場合、何か問題は生じるでしょうか。

事故から何年も経過してからでは、負傷の有無、また事故と怪我の関係に疑義が生じ、人身事故として扱われない可能性がありますが、事故から数か月程度で、事故に近い日での通院・診断書などがあれば、人身事故に切り替えが可能です。

物損事故の場合には実況見分は通常されませんが、人身事故に切り替わった場合には、原則として実況見分をしますので、警察での取り調べや現場での実況見分を改めて行うこととなります。

——その他、このような事例で気をつけるべき点があれば教えてください。

交通事故で怪我をした場合には、物損事故と異なり、治療費や慰謝料などを請求しなければなりませんが、そのためには人身事故に切り替えた方がスムーズに進みます。

後遺障害の申請についても、物損事故のままだと、「人身事故証明入手不能理由書」というものを提出しなければならないなど、注意点もあります。

事故現場で怪我の申告ができなかったとしても、初回の通院で警察提出用の診断書を書いてもらって、警察に提出すれば人身事故の扱いになりますので、適切な賠償請求のためには人身事故に切り替えた方が良いです。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事は「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談をもとに、新たに弁護士の解説を追加して作成しています。

プロフィール

竹内 省吾
竹内 省吾(たけうち しょうご)弁護士 弁護士法人エース
弁護士法人エース代表弁護士。慶應大卒。銀座を本店に、全国に5拠点を構える。労働分野、一般民事、家事、相続、企業法務など幅広く扱う。著書に「少年事件ハンドブック(青林書院)」など。社労士法人エースクルー代表。士業コンサルを扱う株式会社HINANO代表取締役。趣味は車、バイク、コーヒー焙煎。

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