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洗濯物が飛んで隣の植木鉢を破壊、火のついたタバコで穴…ベランダのトラブルで賠償責任は?
写真はイメージ(shimi / PIXTA)

洗濯物が飛んで隣の植木鉢を破壊、火のついたタバコで穴…ベランダのトラブルで賠償責任は?

ベランダの洗濯物が飛んで、近隣住民の植木鉢を壊してしまった──。

弁護士ドットコムにこんな相談が寄せられています。

相談者によると、自宅に遊びに来ていた知人が気を利かせて、ベランダで洗濯物を干してくれたといいます。

ところが、洗濯物を固定していなかったため、風で飛ばされて、隣の家の植木鉢を破損させてしまったそうです。

直接の原因を作ったのは知人ですが、相談者は「私にも賠償の義務があるでしょうか」と不安を募らせています。

●火のついたタバコが投げ捨てられる

一方、被害を受けた側からの相談もあります。

マンションの4階に住むという相談者によると、上の階の住人がタバコの吸い殻を頻繁に投げ捨てているそうです。

管理会社を通じて注意してもらったものの、その数日後には火のついたタバコのフィルターが投げ捨てられ、ベランダに干していた洗濯物に穴が空いたといいます。

集合住宅では、ベランダをめぐるトラブルが思わぬかたちで発生することがあります。

自宅のベランダに干していた洗濯物や設置物が他人の所有物を傷つけた場合、どのような責任が生じるのでしょうか。

また、隣人のタバコなどによって自宅ベランダにあった洗濯物が破損するなどの被害を受けた場合、修理代を請求することはできるのでしょうか。今泉圭介弁護士に聞きました。

●落ち度あれば賠償義務の可能性

──集合住宅で、自宅のベランダに干していた洗濯物や設置物などが風で飛ばされて、隣人のベランダの物や駐車場の車などを傷つけた場合、どのような責任が生じますか。

ベランダに干していた洗濯物や設置物が風で飛び、隣人の所有物を傷つけた場合、適切に固定していなかったなどの落ち度(過失)が認められれば、民法上の「不法行為責任」(民法709条)に基づき、損害賠償義務を負う可能性があります。

今回のように「知人が気を利かせて干した」ケースでは、直接の原因を作った知人が不法行為責任を負う可能性があります。

ただし、居住者自身もベランダの管理者として安全を確認する注意義務があると考えられるため、状況によっては連帯して責任を追及される可能性もあります。

また、物干し台や植木鉢などの設置物が落下した場合には、土地の工作物の設置・保存の瑕疵として「工作物責任(民法717条)」が問題となるケースも考えられます。

物干し台や植木鉢が落下しないよう適切に設置されていれば問題ありませんが、不安定な場所に置いていたり、劣化しているのを知りながら放置していた場合には、責任が発生する可能性があります。

●被害を受けた場合のハードルは「加害者の特定」

──逆に、被害を受けた場合は修理代などを請求することはできますか。

隣人のタバコの吸い殻によって洗濯物に穴が空くなどの被害を受けた場合、不法行為に基づき、洗濯物の修理代や時価相当額の損害賠償を請求することが考えられます。

また、マンションのベランダでの喫煙行為が、他の居住者の受忍限度を超えるほど著しい不利益を与えている場合には、不法行為を構成し得るとした裁判例も見受けられます(単なる喫煙ではなく、他の居住者の不利益を認識しながら、何らの措置を取らず継続して喫煙していたような場合です)。

さらに、故意に火のついたタバコを投げ捨てたのであれば、器物損壊罪などの刑事責任に問われる可能性もあります。

ただし、実務上のハードルとなるのは「誰が投げ捨てたのか(加害者の特定)」です。風の影響などもあり、必ずしも真上の住人が投げ捨てたとは限りません。

確たる証拠がないまま特定の住人に直接苦情を伝えると、新たな近隣トラブルに発展するおそれがあります。

まずは管理組合や管理会社を通じて全戸に注意喚起の書面を配布してもらうなどの対応を取り、それでも改善しない場合は、吸い殻が落ちてきた日時や状況を詳細に記録(写真や日記など)して客観的な証拠を確保したうえで、警察や弁護士に相談することをおすすめします。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事は「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談をもとに、新たに弁護士の解説を追加して作成しています。

プロフィール

今泉 圭介
今泉 圭介(いまいずみ けいすけ)弁護士 弁護士法人みらい中央法律事務所
法政大学法学部法律学科、首都大学東京法科大学院(現・東京都立大学)卒業。弁護士として、2016年より茨城県にて活動。離婚問題をはじめとして、交通事故・相続・債務整理など広く扱っている。弁護士会としては市民のための法教育委員会、子どもの権利委員会等に所属。

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