ママ友に気軽に返事をしたところ、思わぬ金銭トラブルに発展した──。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられている。
相談者はママ友から「子どもの発表会に来てほしい」と誘われ、「いいね」と軽く返事をした。ところが、費用についての説明はなく、無料だと思っていた発表会が実は有料だったことが後から判明した。
相談者が「行けない」と断ると、ママ友の態度は急変。「行くと言ったのだからチケットを買い取れ」「私が損をする」などと、執拗に代金の支払いを求められたという。
こうした身近な金銭トラブルについて、新保英毅弁護士に聞きました。
●弁護士の結論「買い取る必要はない」
──有料か無料かを確認していなかった発表会について、相談者は明確に「行く」と言わず、「いいね」とだけ返答したそうです。それでもチケットを買い取る必要はあるのでしょうか。
結論から言えば、今回のケースで相談者がチケット代金を支払う(買い取る)義務はないでしょう。
法律上、売買契約やサービス提供契約が成立するには、「何を」「いくらで」「どのように提供するか」という重要な契約内容について、当事者双方が合意(意思の合致)している必要があります。
今回のケースでは、契約の核心部分である「対価」について合意がされておらず、有料であること自体が事前に示されていない以上、「意思の合致」はなく、契約は成立していません。
●子どもの発表会であれば「有償と事前に明示しない限り」有償契約成立と考えられない
たしかに有償契約について具体的な金額が決まっていなければ、常に契約が成立しないというわけではなく、社会通念や交渉の経過などから、有償契約の成立が認められる場合もあります。
しかし、子どもの発表会は、身近な人を無料で招待する文化も根付いており、有償であることが当然とは言いがたいと考えられます。少なくとも、誘う側が事前に有償であることを明示しない限り、有償契約が成立したとは評価できないでしょう。
●「いいね」は法的な承諾とは言えない
──「いいね」という返事は、どのように捉えられるでしょうか。
「いいね」という表現は、一般に「関心がある」「素敵な話だね」といった程度の意味で使われることが多く、出席を確約する意思表示とまでは評価できないでしょう。
以上のように、有償であることについて当事者間で合意がなく、相談者の発言も法的な意味での「承諾」と評価できないことから、発表会のチケット購入契約は成立していないと評価されます。
ですので、相談者がチケットを買い取る必要はありません。