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「また晒されるのでは…」義母のSNS"暴走"に悩む母親、孫の写真を勝手に投稿する行為はどこから違法か
イラストはAIで作成

「また晒されるのでは…」義母のSNS"暴走"に悩む母親、孫の写真を勝手に投稿する行為はどこから違法か

義母が勝手に「孫の写真」をSNSに投稿していた──。

義母との関係を円満に保ちたいと思っていても、SNSがそのバランスを壊してしまうことがあります。弁護士ドットコムニュースには、そうした悩みを抱える女性からの相談が寄せられています。

女性の義母は、フォロワーが数百人いる公開アカウントで、孫である小学生の娘の顔写真を投稿していました。義母の自宅ベランダや近所の公園などで遊ぶ様子を撮影したものです。

自宅や住んでいる地域が特定できる写真もあり、さらには小学校入学の記念写真も含まれていたといいます。

ネットで娘のプライバシーが公開されてしまったことで、「事件に巻き込まれたりするのでは」と女性は不安を抱くようになりました。

女性は夫とともに義父母へSNSの危険性を説明して、穏やかに削除を求めたそうですが、逆に責められ、家族間の関係はぎくしゃく。

義母はいったんアカウントを削除したものの、ほどなく新たなSNSを始めており、「また娘の写真を晒されるのでは」と女性は気が休まりません。

このような義母の行為は「不法行為」にあたるのでしょうか。松本典子弁護士に聞きました。

●子どもが犯罪に巻き込まれる可能性、完全削除も困難

──もし義母が投稿した写真から、小学生の娘さんの学校や住んでいる地域がわかってしまった場合、どのような危険が考えられるのでしょうか。

娘さんの顔や名前、制服、学校名などがわかる写真を投稿した場合、つきまといやストーカー、誘拐といった犯罪に巻き込まれる危険があります。

また、娘さんの写真を「自分の子ども」と偽ってSNSに投稿する"デジタル誘拐"に悪用されたり、ポルノサイトへの無断転載、小児性愛者間での情報共有といった深刻なケースもあります。

AI技術の進展により、ディープフェイクに悪用される可能性も無視できません。SNSから取得した画像を加工し、児童ポルノのような画像を生成する事例も報告されています。

さらに、一度ネットに投稿された写真は"デジタルタトゥー"として、将来にわたり残り続ける可能性もあります。娘さんが将来、削除したいと思っても、完全に消すことは難しいかもしれません。

●義母の行為は肖像権やプライバシー権侵害の可能性

──義母が公開アカウントで、保護者の承諾なく孫の写真を投稿する行為は、肖像権やプライバシー権の侵害にあたるのでしょうか。

子どもにも人権があり、肖像権やプライバシー権が認められます。

本人の同意があれば、原則として侵害にはなりません。しかし、子どもの場合、SNSに投稿されることの意味を正確に理解して同意することは難しい場合が多いでしょう。

そのため、祖母と孫の関係であっても、無断で孫の写真を公開アカウントに投稿する行為は、肖像権やプライバシー権の侵害にあたると考えられます。

●義母が新しいアカウントで投稿してしまう前に

──アカウント削除後も、再び新しいSNSで写真を公開されるおそれがある場合、何か予防策はとれますか。

まずは明確な意思表示をすることが肝要です。その際には、SNS投稿の危険性や、子どもの権利を侵害する可能性があることを具体的に伝えるとよいでしょう。

ただ、義両親との関係で強く言いづらい場合もあります。そのようなときは、今回のケースのような記事を読んでもらう方法も考えられます。

また、弁護士に依頼して書面を出してもらうことも可能です。内容証明のような強い形式ではなく、手紙に近い内容でも、弁護士名が通知されることで、一定の効果が見られるケースもあると思います。

それでもなお投稿される場合は、SNS運営会社への通報・削除依頼のほか、弁護士に相談して削除命令の仮処分を申し立てるなど、法的措置を検討することも必要になります。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事は「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談をもとに、新たに弁護士の解説を追加して作成しています。

プロフィール

松本 典子
松本 典子(まつもと のりこ)弁護士 松本中央法律事務所
歌舞伎町でキャバクラ嬢として働いているときに弁護士を志す。国際基督教大学教養学部理学科生物学専攻卒業。予備試験経由で司法試験合格。東京弁護士会所属。企業法務を中心に、男女問題、相続、刑事事件等幅広く取り扱う。現在はテーマパーク業界を中心とした横断的な法律問題や個人情報保護に注力している。最近の趣味は、筋トレと有酸素運動。ベストボディ・ジャパン2025ジャンル別・職業別東日本大会・士業部門第3位。

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