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クマよけスプレー、市街地で持ち歩いたら「違法」になる? 銃刀法の対象外でも「職質リスク」札幌の弁護士が解説
クマよけスプレー(キャトルズ / PIXTA)

クマよけスプレー、市街地で持ち歩いたら「違法」になる? 銃刀法の対象外でも「職質リスク」札幌の弁護士が解説

今年も、クマによる人身被害が各地で相次いでいます。

北海道警は、ヒグマ被害が増えていることを踏まえ「鈴やラジオで、人の存在を知らせる」「万が一に備え、クマ撃退スプレーを携行する」などの対策を呼びかけています。

市販されている「クマ撃退スプレー」や「クマよけスプレー」の主成分は、唐辛子由来のカプサイシンです。強力な刺激物であるため、人に使用すれば危険とされます。

日本護身用品協会では、クマよけスプレーは一般的な対人用催涙スプレーよりも強力で、法規制がないことから「護身具」として販売されている事例があると指摘し、その危険性を訴えています。

一方で、クマ対策としての携帯は有効とされていますが、どこまでが許されるのかと不安を抱く人も少なくありません。

弁護士ドットコムにも相談が寄せられました。相談者は子どもとレジャースポットを訪れる予定ですが、その地域は行政が「クマ出没」を呼びかけている場所。

専用ホルダーに入れ、腰に装着するつもりですが、上着に隠れることもあるといいます。普段は持ち歩かず、自宅で保管しているとのことですが、それでも職務質問を受けた場合に逮捕される可能性があるのか、不安を感じているそうです。

では、クマよけスプレーの携帯はどこまで許されるのでしょうか。猟銃所持許可取り消し訴訟の原告代理人で、クマ問題にくわしい中村憲昭弁護士に聞きました。

●クマよけスプレーは「銃刀法」の対象外

──クマよけスプレーは、法律上、武器や護身用具として規制されているのでしょうか。

クマよけスプレーは現行法で規制されていません。

人に傷害を負わせる危険のある銃砲や刀剣については、銃刀法で規制されています。一定の大きさ以上のナイフや猟銃は、所持や携帯、使用が制限されています。

特に、拳銃や小銃、機関銃、猟銃、金属製弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲などは、原則として所持が禁止されています。空気銃も、弾丸の運動エネルギーが一定値以上のものは規制対象です。

このように、人に危害が生じるおそれのある銃砲刀剣類は、所持や携行が厳しく規制されています。

ただし、銃刀法は刑罰法規を含む法律ですから、所持が禁止される対象となる「銃砲」や「刀剣」は明確に定義されています。

逆にいうと、規制対象として法律上定義されているものでなければ、所持することも、携行することも違法ではありません。クマよけスプレーも、少なくとも銃刀法の規定の中に所持や携行を禁じる規定はありません。

●正当な理由なく持っていたら軽犯罪法に触れる可能性

──クマよけスプレーの所持はどのようなところでも許されるのでしょうか。

ただし、常にクマよけスプレーを持ち歩いて良いというわけでもありません。

軽犯罪法には「正当な理由がなくて・・・人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」について、拘留または科料を科すと規定しています(同法1条2号)。

職務質問を受けた際、クマよけスプレーを所持していたとすれば、所持の目的や正当な理由について追及される可能性があります。

●クマよけスプレーを携帯するための注意点

──クマよけスプレーで誤解されないためには、どのような携帯方法や説明の準備をすべきでしょうか。

クマが出没しないような都市部の繁華街において、クマよけスプレーを携行することは、そもそも必要性に乏しいばかりでなく、他の人に不安を与えます。

クマよけスプレーは対クマ用に開発された商品で、人体に向けて発射することを予定していません。

ですから、人に対しての護身用として携行することは、携行の正当な理由にはなりません。あくまでもクマから身を守るためであるということを、警察官にきちんと説明する必要があります。

私の居住する町内会にはリアルにヒグマが出没しますが、クマよけスプレーを持ち歩いている人はいません。逮捕まではされないにしても、職質を受けること自体わずらわしいものです。その意味でも、街中でクマよけスプレーを持ち歩くのは避けたほうが良いでしょう。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事は「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談をもとに、新たに弁護士の解説を追加して作成しています。

プロフィール

中村 憲昭
中村 憲昭(なかむら のりあき)弁護士 中村憲昭法律事務所
離婚・相続、交通事故など個人事件と、組織が万全でない中小企業を対象に活動する弁護士。裁判員裁判をはじめ刑事事件も多数。その他医療訴訟や建築紛争など専門的知識を要する分野も積極的に扱う。

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