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アイドル「推し活」に夢中な男性、婚約者にスマホ投げられる…「ハグ=浮気」なのか?
画像はイメージです(弁護士ドットコム撮影)

アイドル「推し活」に夢中な男性、婚約者にスマホ投げられる…「ハグ=浮気」なのか?

女性アイドルを応援する「推し活」を楽しんでいたところ、婚約者に「浮気」と判定されてしまった――。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者の男性によると、推し活に使っているSNSが婚約者に見つかってしまい、「推し」とのハグ会に参加したり、推しと食事会をしたことが「浮気」と判定されてしまったそうです。

男性いわく「たしかに女の子とDMやりとりしたり、食事の約束をしたのは事実ですが、男女関係にはなっていません」とのこと。

しかし、婚約者の怒りは相当だったようで、SNSのログをすべて提出させられたうえ、スマホを投げつけられて、ガラスフィルムを割られたといいます。

また、その後も行動を制限されて、隣の駅に行くことすら許されなかったそうです。男性は本当に推し活や女性とのDMや食事が浮気だったのか、疑問に思っています。

はたして、推し活は「不貞行為」にあたるのでしょうか。男女問題にくわしい︎古関俊祐弁護士に聞きました。

●推し活は「不貞行為」ではないが…

——推し活の内容として、推しの女性とのハグや食事、DMのやりとりなどが挙げられます。婚約中のこうした行動は、「不貞行為」になってしまうのでしょうか。

婚約者に対して慰謝料の支払義務が生じる「不貞行為」とされるには、性的関係を伴う行為が必要とされています。そのため、ハグ程度で「不貞行為をしたから慰謝料を支払わなければいけない」ということにはならないでしょう。

ただし、婚約者をないがしろにして推し活に没頭することは、その行為そのものが婚約者との信頼関係を破壊することになります。

婚約中に信頼関係を破壊し、結果として、婚約破棄につながってしまったということになると、婚約破棄に対する慰謝料という名目で慰謝料の支払い義務が生じる可能性はあるでしょう。

●婚約者の過剰な束縛、慰謝料請求できる?

——「SNSのログをすべて提出させる」「携帯を投げつけてガラスフィルムを割る」「行動を制限する」といった婚約者の行動に違法性はないのでしょうか。もしあった場合は、男性は婚約者に慰謝料請求できるのでしょうか。

たとえ他方に落ち度があったとしても、婚約者を過剰に束縛したり、相手の物を破壊したり、身体的・精神的な暴力を振るうという行為は「デートDV」にあたり、これも婚約破棄に至った場合には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。

婚約破棄の慰謝料は、一般的な夫婦間の不貞慰謝料より低く、せいぜい数十万円から高くても200万円ほどです。

ただし、婚約破棄の場合は慰謝料だけでなく、結婚に向けた準備にかかった費用(引越し・転居の費用、結婚式にかかる費用、結婚指輪・婚約指輪の費用など)の弁償も必要になるため、総額は高額になることもあります。

●「婚約者との信頼関係を築くことから」

——推し活に熱中するあまり、婚約者や恋人、パートナーが「浮気だ」と誤解するケースも少なくないようです。どうすれば、推し活に理解が得られるのでしょうか。

SNSなどを媒体に「推し活」というワードが認知され、さまざまな個人の趣味を外部に表明することが一般的に許容されるようになりました。

ただし、自分の趣味に熱中するあまり婚約者など大切な人をないがしろにし、大切な人に不快感を与えてしまうのは不誠実です。

はたから見れば、女性アイドルへの推し活は、婚約者がいるにもかかわらず、他の女性に色目を使っている行為であることを自覚する必要があります。

まずは婚約者のことを一番大事に思っているということを態度や言葉で示し、婚約者との時間を大切に過ごし、婚約者との信頼関係を築くことから始めましょう。

そのうえで、推しへの応援を下心ではなく、見返りのない純粋な応援として時間とお金を使えるものか考えてみてください。見返りのない時間とお金の消費よりも、婚約者と過ごす時間に時間とお金を使うほうが有意義かもしれません。

それでも推しへの応援が大事にしたいと思える趣味なのであれば、きちんと信頼関係が築けている婚約者であれば多少は許容してくれるかもしれません。

まずは婚約者を自分の一番の「推し」にすること。ここから始めてみると素敵な生活が送れると思います。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事は「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談をもとに、新たに弁護士の解説を追加して作成しています。

プロフィール

古関 俊祐
古関 俊祐(こせき しゅんすけ)弁護士 弁護士法人HAL秋葉原本部
江戸川区出身。2009年3月、中央大学法学部卒業。2011年3月、明治大学法科大学院修了。 同年9月、司法試験合格。2012年12月、弁護士登録(東京弁護士会所属)。2017年、新小岩法律事務所開設を経て弁護士法人HAL代表弁護士に就任。

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