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1 一般論でいえば、最初の救急搬送時と今回の脳梗塞は関係ないとされています。
そして、高血圧は脳梗塞のリスク要因とされていますが、高血圧が必ず脳梗塞となるものではないために、通常では医療過誤とは言えないと考えられます。
2 脳細胞に栄養を与えている脳の動脈が血栓で詰まり、脳の血液の流れが悪い状態が続くと脳細胞は死んでしまい、運動まひなどの症状も残ってしまいます。この状態が脳梗塞です。
これに対して、高血圧に自覚症状はほとんどありません。血圧がかなり高いときは、頭痛、めまい、肩こりなどが起きやすくなりますが、それは血圧とは関係なくよく起こるものですので、高血圧が原因かどうか言い切れず、高血圧の自覚症状はあてにならないともいえます。
このように、最初の救急搬送から脳梗塞の発症とを関連付けることは実際には困難といえます。
3 しかし、問題は救急搬送されたのですから、症状は単なるめまいにとどまらないものだったと思いました。半身の手足のしびれや脱力症状はあったのでしょうか。
もしあったとすると、高血圧の症状というよりも、「一過性脳虚血発作」の可能性があります。
この発作は、脳の一部の血液の流れが一時的に悪くなることで、半身の運動まひなどの症状が現れ、24時間以内(多くは数分から数十分)に完全に消えてしまいます。
現在では、この「一過性脳虚血発作」は、脳梗塞の前兆、というよりも2で述べたとおり、脳に血栓が生じて症状が出現したものの、脳細胞の死滅の結果、流れがよくなり回復したように見えただけだからです。つまり、一般的には高血圧の人にも知識としては広まっていなくとも、医師であれば、「一過性脳虚血発作」を疑うべきであったと思われるからです。
4 現時点の知見では、一過性脳虚血発作を治療しないで放っておくと、3か月以内に15~20%の方が脳梗塞を発症し、そのうち半数は一過性脳虚血発作を起こしてから数日以内(特に48時間以内が危ない)に脳梗塞になることがわかっています。
さらに、一過性脳虚血発作後、速やかに病院を受診し、検査・治療を始めれば、その後の脳梗塞発症の危険を減せることも、いろいろな研究からわかってきているようです。
すると、当日のCT撮影をしたうえで、その後の経過観察を病院としてすべきであったことを怠ったという可能性が出てきます。